アプリの海外展開は今がチャンス!海外アプリ広告担当者が見た、海外市場のヒット傾向とマネタイズ手法【後編】

2016年、ポケモンGOの世界的ヒットで、海外市場を意識したデベロッパーの方は多いはず。実際に、カジュアルゲームで世界的ヒットを飛ばしているデベロッパーさんも現れ、広告プラットフォームの選択肢も増えてきた今、海外進出は容易になってきたと言えるでしょう。

しかし、海外アプリ市場の情報は、巷にはまだ少数しか流れていません。そこで、ザクマガ!を運営する株式会社Zucksで海外企業全般(広告主、広告会社、媒体)を担当する村上が、アプリ業界の海外事情についてご紹介します。

前編では、アメリカ・韓国・台湾のヒット事例や、マネタイズ手法についてご紹介しましたが、後編では、3つの市場に共通するマネタイズ手法を深堀りし、マネタイズやUI面でデベロッパーさんにおすすめしたいアプリをご紹介します。

アプリデベロッパーさんは、海外に進出するなら今がチャンスです!

海外市場では、動画リワードと課金の実装が必須!

各国に共通するマネジメント/UIの手法として、前編では以下のような共通項をご紹介しました。

・海外は「さっさとクリアしたい」というユーザーが多いので、課金機能はあった方が良い
・ノンバーバルに楽しめる設計、もしくは徹底した言語ローカライズをする
・プレイしていて気持ち良い、クセになる効果音やBGMをつける

◆ より詳しい解説はこちらから ⇒ アプリの海外展開は今がチャンス!海外アプリ広告担当者が見た、海外市場のヒット傾向とマネタイズ手法【前編】

上記の共通項に加えて、どの国でも、ヒットアプリはおおむねバナー広告や、インタースティシャル広告(画面切り替え時にフルスクリーンで表示される広告)、動画リワード広告を実装していて、課金ポイントを作っているものが多いと感じます。

海外市場では2016年までは、バナー広告やインタースティシャル広告ではGoogleのAdMobが圧倒的なシェアを獲得していましたが、最近ではごくわずかですがアドネットワークのFAN(Facebook Audience Network)を使ったマネタイズも見られるようになりました。

また、デベロッパーさんにもよりけりですが、SSP(広告枠販売や広告収益最大化を支援するツール)的な使い方で、ドイツのFyberを使う会社さんもいれば、イスラエルのSuperSonicをつかう会社さんもいます。もちろん直で動画リワード事業者のSDK(ソフトウェア開発キット)を入れているデベロッパーさんの話も聞いています。

このような状況の中で、動画リワード広告の実装は必須。どうせ動画リワードを入れるなら、ということで、ゲームとゲームの合間などにスキップ可能な動画(これは動画のインタースティシャル広告に近いイメージです)を表示するデベロッパーさんも目にしています。

アメリカや欧米圏ではTapjoyFyberのリワードウォールや、Chartboostの広告を目にするケースも。また、ゲーム内のネイティブ広告も増えてきました。日本国内でもゲームアプリ「青鬼」で有名なGOODROIDさんが、ゲーム中の壁をアプリ広告にされていましたね!

広告と双璧を成すマネタイズの手法「課金」ですが、国によって課金のモチベーションに違いはあれど、多くのデベロッパーが課金機能を導入できるゲームクオリティに仕上げています。

ジャンル別!海外企業担当の村上がおすすめする、海外アプリ注目タイトル

ここからは2016年に私がUIやマネタイズが面白いと感じた海外の9つのアプリをジャンル別にご紹介します。私個人の選定ではありますが、デベロッパーさんにもきっと参考になるアプリだと思います。

① カジュアルゲーム

slither.io (Lowtech Studios/アメリカ)
カジュアルゲームのおすすめは、slither.io。ノンバーバルで簡単な操作性や無音のゲーム、とシンプルを追求しながら、オンラインで全世界のユーザーと戦え、オフラインでも遊べるなど、とりあえずスマホに入れておきたくなるゲームです。

slitherはWebブラウザの時代からあった老舗ゲームですが、アプリ移植も上手くいっています。プレイ中はAdMobのインタースティシャル広告がガンガン出てきますが、ゲームオーバー時に表示されるだけなのでストレスも少ないです。後発でこのゲームを真似たものもヒットしているので、ソリティアやピンボール同様、グローバルな定番ゲームと言えます。


slither.io

slither.io
開発元:Lowtech Studios
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② スポーツゲーム

Dream League Soccer (First Touch/イギリス)
ウィニングイレブンをプレイしたことがあるユーザーなら、ハマること間違いなし!のサッカーゲーム。ほぼ実名のキャラクターに、コンソールゲームを彷彿とさせる操作性は、プレイしていて非常に楽しいです。

マネタイズは、選手の購入やスタジアムの増築などのゲーム内課金がメインですが、インタースティシャル広告や動画リワード広告も導入していています。広告の表示が秀逸でユーザーストレスも少なく、デベロッパーさんにはぜひ参考にしていただきたいアプリです。


Dream League Soccer

Dream League Soccer
開発元:First Touch
無料
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③ パズルゲーム

Gardenscapes – New Acres (Playrix Games/ロシア)
パズルゲームをメインに、箱庭ゲームを上手くマッチさせたゲームで、日本だけでなく、全世界でTOPセールス入りを果たしています。

メインのマネタイズは課金収益で、一定のプレイを超えると(無課金と判断されるのか)動画リワード広告が出てきます。ストレスを感じさせない広告の挿入方法なので、このアプリを参考に広告を入れてみましょう!


ガーデンスケイプ(Gardenscapes)

ガーデンスケイプ(Gardenscapes)
開発元:Playrix Games
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④ その他ゲーム

Design Home (Crowdstar/アメリカ)
ステージ(家)をデザインしていくゲームアプリで、ゲーム内容もさることながら、マネタイズに大きな可能性を感じています。家をデザインするゲームなので、AmazonやIKEAとコラボして家具をEC展開……なんて展開も可能でしょう。


Design Home

Design Home
開発元:Crowdstar Inc
無料
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⑤ エンターテイメント

Colorfy (Fun Games For Free/中国)
こちらは中国のデベロッパーさん
が開発した大人の塗絵アプリ。日本でも塗り絵アプリをリリースされているデベロッパーさんがいらっしゃいますが、このアプリは全世界的に流行しており、かつトップセールスにも入っています。

「インスタ映えする」ということでSNSにかなり投稿され、ユーザーの獲得もスムーズな点は特筆すべきところ!マネタイズは課金がメインのようですが、インタースティシャル等の広告も出てきます。世界でヒットするアプリは、課金とアドの融合がスタンダードのようです。


Colorfy - 大人の塗り絵 - 無料

Colorfy – 大人の塗り絵 – 無料
開発元:Fun Games For Free
無料
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⑥ ブック

HOOKED – Chat Stories(Telepathic/アメリカ)
テキストメッセージの会話の形を取る短編小説アプリです。マネタイズは週$2.99のサブスクリプションモデル(定額制モデル)で、欧米圏ではトップセールス入りを果たしています。

開発者は、Parag Chordia氏とPrerna Gupta氏(カラオケや音楽アプリを手がけるSmule社に「Khush」というアプリをバイアウトした大物コンビ)のご夫婦で、日本でもそろそろ流行っていいかも、とおすすめしたいアプリです。
無料ストーリーだけでもいいので是非お試しを!


HOOKED - Chat Stories

HOOKED – Chat Stories
開発元:Telepathic
無料
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⑦ ニュース

今日头条 -北京字節跳動科技<バイトダンス・テクノロジー>/中国)
GunosyやSmartNewsの中国版と言えるニュースアプリ。中国ではTencent社が運営するTencentNewsがある中で、独立系のこのアプリがユーザーを集めています。私は2016年初頭に知ったのですが、その時すでにユーザーは約5億人。訪日中国人にアプローチするメニューとしても日本で話題になっていました。

マネタイズは広告がメインですが、広告の精度や日々進化するフォーマットは、ネイティブアドの今後を見るようで、毎日チェックしたいアプリの一つです。


今日头条(新闻阅读)

今日头条(新闻阅读)
無料
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⑧ SNS

Live.me(ライブミー) – (KS Mobile/アメリカ・中国)

Live.meはユーザー参加型の動画配信アプリです。この分野では中国の「YY」や台湾の「17」は有名ですが、全世界でヒットしているのはこちらのアプリ。

運営はPianoTile2などを手がける中国Cheetah Mobile社。マネタイズは投げ銭スタイルで、気に入った動画の投稿者に課金式でプレゼントを贈ることができます。芸能人コラボや、料理動画、音楽動画など、あらゆる企業とコラボしたマネタイズに今後注目が集まります。


Live.me(ライブミー) –動画ライブ配信・生放送SNS

Live.me(ライブミー) –動画ライブ配信・生放送SNS
開発元:Live.me Broadcast
無料
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⑨ カメラ・ビデオ

SNOW (Camp Mobile/韓国)

日本でも大流行したカメラアプリSNOW。アプリを手がけるCamp Mobile社は、韓国NAVER社の子会社でしたが、昨年、「SNOW」に特化する企業として、NAVER100%子会社のSnow Corporationが設立されました。

SNOWは日本での流行もあり、LINE社が第三者割当増資を引き受けて、Snow社の株式を取得したことでも話題になっています。

カメラアプリのマネタイズはこれまで難しいものでしたが、AR技術、機械学習を駆使した様々なマネタイズは本当に勉強になりますよ!

ここまで2016年に印象に残ったアプリの振り返りを行いましたが、今年はどのようなアプリが流行り、人々を楽しませてくれるのでしょうか。今年も素晴らしいアプリを多くのユーザーに届ける仕事を楽しみながら、デベロッパーのみなさまの海外アプリ市場進出のお手伝いができればと考えています。

村上
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