海外ニュースアプリのマネタイズ手法 | 海外アプリ広告担当 村上の海外AppジャーナルVol.3


Zucksの海外アプリ広告担当者 村上が国外のアプリ情報をお伝えする連載「海外Appジャーナル」。今回は日本でも「Gunosy」や「NewsPicks」などが登場しているニュースアプリをテーマに、海外アプリのマネタイズ方法にフォーカスします。

意外にも、ネイティブアド・バナー広告の姿は減少傾向に

今回サンプルとして調査したのは、以下5つのアプリです。
ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)
ウォールストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)
バズフィード(BuzzFeed)
デア・シュピーゲル(Der Spiegel)
今日头条(Toutiao)

まずは英語圏の主要なニュースアプリの①〜③番。次にヨーロッパを代表してドイツ語の④、最後に中国語の⑤を取り上げました。

これらのアプリは全てApp StoreとGoogle Playでダウンロード可能で、世界各国で多数のユーザーに使われています。

全てのアプリに共通することは、以前に比べてネイティブアド(文章や画像として表示される広告らしさを感じさせない広告)の数が圧倒的に減っていることです。

バナー広告も積極的に導入しているアプリは少なく、スポンサー記事(広告目的でスポンサーに依頼されて製作する記事)は少しだけ残っている印象でした。

以前は主要なマネタイズの方法として使われていた「ネイティブアド」や「バナー広告」が減ったのは、おそらく読者がニュースに集中できるよう、ユーザビリティを優先したからでしょう。

主要な広告の姿が画面上から見えなくなった今、各アプリはどのようにマネタイズを行っているのでしょうか?

広告に代わり、サブスクリプション方式が主流に

新しいマネタイズの方法として、欧米系の「ニューヨーク・タイムズ」「ウォールストリート・ジャーナル」「バズフィード」「デア・シュピーゲル」では、月額〇〇円という課金制の「サブスクリプション方式」を取り入れています。

購読料は1ヶ月間に日本円で1000〜1500円程度と比較的手軽に導入でき、2015年にニューヨーク・タイムズは100万人のユーザー登録者を記録しました。もちろん無料で購読も可能ですが、「1ヶ月に10記事まで」というように制限がかかります。

一方、中国の今日头条は無料でほぼ全ての機能が使え、課金により一部機能が解放されるフリーミアムモデルになっています。もちろん、それだけでは収益性が低くなってしまうので、今日头条ではECも並行して行っています。

このように、記事に掲載された写真をタッチするとショッピングサイトに移動し、写真と同じ商品を購入できるんです。

EC を使ったマネタイズは他アプリやWebマガジンでも見られ、最近ではバズフィードがECを使ったマネタイズに参入していました。

広告は静止画的手法から、動画・音声にシフト中

マネタイズ手法の次は、機能の違いに注目してみましょう。

特筆したいことは、今回サンプルにしているアプリのほとんどが音声でニュースを読み上げてくれる機能を配信していること。

この機能に付随して、ラジオのように音声広告が入ります。最近Webやアプリ周りで見かけることが多い動画広告も、動画記事に付随して広告が配信できるようになりました。

全てのアプリで音声や動画のプラットフォームが整えられていることから、マネタイズの手法は、ネイティブアドやバナー広告などの「静止画的広告」から、「音声や動画による広告」に移行していると言えるのではないでしょうか。

もうひとつピックアップしたいのが、2016年初頭から注目されている「マイクロペイメント」機能です。これは記事の続きが見たい人に向けて、「この記事を見るには100円払ってください」という少額課金の方法で、ニューヨーク・タイムズでもテスト記事が実装されていました。

マイクロペイメントは、日本でも「Cakes」などのメディア型アプリで徐々に導入されていて、今後注目したいマネタイズ手法。まだマネタイズの主流だと言い切れない状況ですが、今後に注目したいところです。

UI面では、ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナルは画面が白背景に黒文字で、画像以外に余計なものがほとんど無いシンプルなものに統一されています。

英語圏と非英語圏の毛色の違い、独自路線を歩む今日头条

一方、中国の今日头条は他アプリとは方向性が異なり、画像も多め。カラフルで賑やかな画面構成になっています。

今日头条はスタートアップのベンチャーから出たディベロッパーで、もともと紙媒体を持っていました。このアプリはいまだにベンチャー気質を色濃く残していて、先ほどご紹介したECマネタイズのような新しい取り組みをいち早く取り入れています。

ユーザー数は6億人を超え、頻繁にUIが変わっていることも特徴。たとえば、横一列に3つの写真を差し込んでいるニュースアプリは日本ではなかなか見られませんよね。

これは個人の意見ですが、今日头条は広告表示の先進事例のひとつだと考えています。ニュースアプリだけでなく、たとえばカジュアルゲームの広告表示にも参考になるアプリだと思いますので、ぜひチェックしてみてください。

マネタイズ手法は日進月歩、常に研究をおこない最適の一手を

今回の話を振り返ると
・マネタイズ手法は「広告」から「サブスクリプション方式」に
・一部ではECという新手法も試されている
・広告手法は、バナー広告などの「静止画的広告」から、動画や音声にシフト中
・UIはシンプルで無駄がないものが主流。ただし一部例外もあり

と、まとめることができます。

一昨年前まで主流だったネイティブアドやバナー広告が廃れ、動画や音声広告、さらにはECマネタイズが試行されていることを知ると、業界の移り変わりの早さを感じます。

昨日まで新しいと思っていたものが、今日は古くなっているということは、流れの速いIT業界ではよくあることです。時には国内のアプリだけでなく、海外アプリに目を向けてみると、広告の実装やUIの面で思わぬヒントをもらえるかもしれません。

同じリソースを使っても効果は様々になるもの。より効果的な行動をとるためのヒントとして、この記事が参考になれば幸いです。

村上
Zucksにおいて、海外企業全般(広告主、広告会社、媒体)を担当。海外のおもしろいネタを常に探し中。気軽に連絡ください!