海外カメラアプリのマネタイズ手法 | 海外アプリ広告担当 村上の海外AppジャーナルVol.5

Zucksの海外アプリ広告担当者 村上が国外のアプリ情報をお伝えする連載「海外Appジャーナル」。今回は「SNOW」や「Snapchat」など、誰でも一度は使ったことがあるカメラアプリをテーマに、海外カメラアプリのマネタイズ方法にフォーカスします。

カメラアプリはマネタイズしづらいアプリ、なのか?

今回テーマにしているカメラアプリは、アプリの「インストール数ランキング」に必ずランクインしている人気カテゴリー。しかし、実はマネタイズがしづらいアプリでもあるのです。

アプリのマネタイズ方法として主流なものは、ユーザーにバナーや動画をクリックしてもらうことによって得られる「広告収入」と、ユーザーから直接課金を行ってもらう「課金収入」に分かれます。

カメラアプリは写真を撮るという機能の性質上、画面のスペースを占有してしまう広告を掲載することが難しくなりがちです。つまり、他アプリに比べて広告を表示させる機会が圧倒的に減ってしまうのです。

一方の課金収入は、アプリを買い切り型のものとして販売したり、フィルターなどの機能追加を販売したりすることができますが、成功事例はまだあまり多くはありません。

このように、カメラアプリはマネタイズがしづらいカテゴリーですが、数十億円単位の資金調達を成功させた「SNOW」や、株式上場を果たした「Snapchat」は売り上げを順調に伸ばしています。では、これらの大型タイトルではどのようにマネタイズを行っているのでしょうか?

カメラアプリのマネタイズ、王道はスポンサードだった

SNOWやSnapchatなどの大型カメラアプリはどのようにマネタイズを行っているかというと、主にコラボやタイアップがマネタイズのポイントになっています。

SNOWは今年公開されるポケットモンスターの映画公開に合わせ、フィルターやスタンプを配布していますが、あれはスポンサーコンテンツのひとつ。テレビやラジオのCMように、フィルターやスタンプの枠を企業に販売し、その収益をマネタイズの柱にしているのです。

カメラアプリの有名なスポンサード事例と言えば、2016年にSnapchatが行った、スポーツドリンク「ゲータレード」とのタイアップが一番の成功事例でしょう。

このタイアップでは下記動画のように、ユーザーが自撮りした動画にゲータレードのアニメーションフィルターを合成することができます。

「ゲータレードシャワー」と呼ばれるこのフィルターはアメリカで大流行し、インプレッション数(広告がユーザーに何回視聴されたかを測る指標)は1.6億以上を達成。

この数字は、アメリカで一、二を争うほど、価格が高い広告枠(30秒で6億円)として知られる「スーパーボウル(アメリカンプロフットボールの優勝決定戦)」の視聴数1.5億人を超えるもので、SNSなどのシェアを含めると、さらに多くの人から広告が見られていることが予想されます。

この事例は、カメラアプリがテレビやラジオに匹敵するプラットフォームに成長したことを示しています。

◎近年では化粧品メーカーや美容メーカーとのコラボも登場

カメラアプリとタイアップが行われる商品は裾野を広げ、現在では化粧品メーカーや美容メーカーとタイアップを模索しているカメラアプリも登場しています。

その例として挙げたいのが、台湾資本のPerfect Corp.がリリースしている「YouCam」と、中国資本のMeituがリリースしている「MakeupPlus」です。

両アプリともに、ユーザーの顔写真にメイクをしているようなフィルターをかける「メイクアップアプリ」で、この機能を活かして、クリスチャンディオールやロレアル、エスティローダーなどの美容メーカーとのタイアップを行っています。

ユーザーは、各メーカーの新商品を再現したチークや口紅をアプリ上で試すことが可能。「化粧を落とさず色々なコスメを試すことができるので便利」と女性ユーザーから好意的な評価を集めています。

メイクアップアプリをリリースしている両社ともに次の展開を模索していて、Perfect Corp.はアプリを販売店店頭での試用ツールとして導入してもらうことでマネタイズを行い、一方Meituはアプリ内にECサイトへの導線を設け、タイアップメーカーの化粧品をネット販売する形で業績の拡大を狙いはじめました。

そのほかに、企業とのタイアップとして、LINE corporationがリリースしている食べ物専用のカメラアプリ「Foodie」が、食器や調味料を画像に貼り付けられるスタンプ機能を設け、広告枠として活用している例があります。

◎Snapchatが次に仕掛ける「店舗送客ジオターゲティング」

先ほどご紹介した企業タイアップのほかに、Snapchatは「店舗送客ジオターゲティング」と呼ばれる広告サービスを展開しはじめました。

これは、ユーザーのGPS情報を分析し、いまユーザーがいる場所から近いレストランや販売店のクーポンを送り、店舗への送客を図るもの。

このサービスでは、クーポンを送付することはもちろん、クーポンが実際に利用されたかどうかを追うこともできるため、広告の効果もダイレクトに測定することができます。

これは世界有数のユーザー数を誇るプラットフォームになった、「Snapchat」だからこそできる芸当ですが、これもマネタイズ手法のひとつとして数えることができるでしょう。

画像加工ソフトは中小でも戦えるフィールド

これまでご紹介したタイアップなどのマネタイズ手法は、多数のユーザーに支持されるアプリでなければ実現が難しい手法です。

それでは、中小ディベロッパーはカメラアプリのカテゴリーには参入できないのでしょうか?
カメラアプリそのものに参入することはたしかに難しいかもしれませんが、カメラアプリに付随する写真加工アプリであれば中小ディベロッパーでも参入が可能かもしれません。

Visual Supply Companyがリリースしている画像加工アプリ「VSCO」は人気インスタグラマーがこぞって使っていることが話題になり、近年ユーザー数を伸ばしているアプリです。

このアプリは基本的に無料でダウンロードできますが、特定のフィルターは課金して購入する、コンテンツ課金型のアプリになっています。

このコンテンツ課金を武器に、VSCOは「アプリ課金ランキング」にランクインするアプリに成長しています。

画像加工アプリは参入障壁が少なく、マネタイズもしやすいため中小ディベロッパーにおすすめの領域です。画像加工アプリは直感的に操作できるUIを作れば、言語対応にさほど労力はかかりません。国際展開もしやすいので、当たれば大きい分野だと言えるでしょう。

王道の「広告収入」や「課金収入」が使えないからこそ生まれた、プラットフォームとしてのマネタイズやタイアップは、他のアプリにも応用できる手法かもしれません。
今回紹介したマネタイズ事例をヒントに、自社のマネタイズをブラッシュアップしてみませんか?

村上
Zucksにおいて、海外企業全般(広告主、広告会社、媒体)を担当。海外のおもしろいネタを常に探し中。気軽に連絡ください!