使用時間や課金額まで、15〜19歳の学生に聞くマンガアプリの利用方法


SNSやカメラアプリなど様々な種類があるアプリの中で、近年勢いがあるのがマンガアプリ。「マンガボックス」に始まり、「マンガワン」「少年ジャンプ+」など様々なアプリがリリースされ、群雄割拠の様相を呈しています。

このマンガアプリの勢いを牽引しているのは、20代以下の若年層です。
「LINEマンガ」「comico」「マンガワン」「マンガボックス」など、月間利用者数100万人以上のアプリでは、20代以下の若年層ユーザーが、全ユーザー数の約半数を占めています。(※1)

マンガアプリの主要なユーザーになっている若年層は、マンガアプリをどのように利用しているのでしょうか?今回は15〜19歳にマンガアプリに関するアンケートを行い、そのデータをまとめました。

※調査方法:インターネットリサーチ、調査会社JUST SYSTEMS「Fastask」

回答者は78名、マンガアプリ以外に人気のアプリは?

今回協力していただいたのは78名の学生たち。性別の割合は男性27名、女性51名。内訳は中学生2名、高校生37名、大学生8名、専門学生5名、その他(予備校生など)が2名です。

最初に聞いた質問は、「スマートフォンにダウンロードしているアプリの種類に当てはまるものをすべてお選びください」(回答者78名)という質問。
学生達はマンガアプリ以外に、どのようなアプリをダウンロードしているのでしょうか?

票を集めたのは、SNS(FacebookやInstagramなど)や動画再生アプリ、カメラアプリなど。マンガアプリも人気があり、5位に食い込んでいます。

マンガアプリ所有の学生に人気のOSは、iOS or Android?

次は、先ほどの質問で「マンガアプリ」と回答した学生の中から、使用しているスマートフォンのOSについて聞いてみます。
集まった回答者は47名(全回答者数の約6割)。果たしてどちらのOSを使っている学生が多いのでしょうか?

票が集まったのはiOSで、Androidとは実に約8倍の差があります。

人気マンガアプリはどれ?気になる結果は〇〇が優位に

次の質問は、「あなたのダウンロードしているマンガアプリはどれですか?」(回答者47名)。マンガアプリにはいくつも種類がありますが、どのアプリが人気なのでしょうか?

一番人気が集まったのは、学生に人気があるLINEの関連サービス「LINEマンガ」。次いで、「comico」や「マンガワン」などのマンガアプリが続きます。

メールに代わる連絡手段として学生の必須アプリになっているLINEは、マンガアプリの分野でも大きなプラットフォームになっているようです。

5つ目の質問は「マンガアプリを選ぶ際、どのような点を重視して選んでいますか?」(回答者47名)。先ほどの質問では、人気のあるアプリとそうでないもので票が割れましたが、その要因は何だったのでしょうか?

1番票を集めたのは、「無料で読める量が多い」という回答。次いで「掲載されているマンガが好きだから」という回答に票が集まります。

先ほどの質問で票を集めた「LINEマンガ」「comico」「マンガワン」は無料掲載のコンテンツが多く、テレビや映画などでメディアミックスされた作品が多いのが特徴。メディアミックス作品は知名度も高く、テレビや映画をきっかけに読み始めるユーザーも多いはず。

「無料で読める」+「作品の知名度の高さ」がマンガアプリの人気を作る要因なのかもしれません。

頻度と時間、アプリを使うタイミングは?

ここからは、学生がどのようなタイミングでアプリを利用しているかを聞きます。学生は、どのタイミングで、何時頃にマンガアプリを利用しているのでしょうか?

「マンガアプリはどれくらいの頻度で利用しますか?」
「あなたは何時頃にマンガアプリを利用しますか?」(共に回答者47名)
という質問の結果を続けてご紹介します。

頻度は「ほぼ毎日」が票を集め、時間帯は「21〜24時」を中心に「8〜12時」「18〜21時」「0〜3時」に票が固まりました。

どのマンガアプリも連載作品が多く、毎日作品を更新しているので、購読が習慣化しているユーザーも多いのでしょう。日中は学校があるので利用頻度が低く、学校や部活が終わった放課後や登校前に利用する学生が多いようです。

作品の更新やイベントなどは、上記の時間に行えば大きな反響が得られるのでは?

マネタイズ方法は「課金」が正解?「広告」が正解?

次はマネタイズに焦点を絞ってみます。

多くのマンガアプリは、有料チケットの販売や広告配信、マンガやグッズの販売によってマネタイズされています。その中でも「有料チケットの販売」と「広告配信」は大きなキャッシュポイントです。とはいえ、使えるお金に限度のある学生は課金を敬遠しがち。

マンガアプリを運営するならば、「有料チケットの販売」と「広告配信」のどちらに重きを置いた方が良いのでしょうか?

そこで、「マンガアプリの有料アイテムは購入していますか?(チケットやコインなど)(回答者47名)」という質問をしてみました。

学生ユーザーで、課金アイテムを購入していると答えた人はわずか2割という結果になりました。

次に課金額はどれくらいなのか、「課金をしている」と答えた学生に「マンガアプリの有料アイテム(チケットやコインなど)への1か月あたりの平均課金額をお答えください」(回答者8名)という質問をしてみます。

結果、一番票が集まったのは1000円以下と、しぶい結果に。ほとんどの学生ユーザーは課金に積極的ではないようです。この結果から、マネタイズは広告を中心に行うことで効率よく収益を上げることができそうです。

ところで、マンガを読むために必要なチケットなどの課金アイテムは、動画広告を見たり、特定のサービスに加入したりすることで、無料で獲得することができます。学生はそれらの特典チケットについてどのように考えているのでしょうか?

最後に、「マンガを読む時に消費する『チケット』や『コイン』などのポイントについてお聞きします。ポイントを獲得できる動画広告などの機能を利用したいと思いますか?」(回答者47名)という質問をしてみました。

フタを開けてみると、「積極的に利用したい」「獲得できるポイントによる」という回答をした学生が約6割になり、広告視聴による無料チケット獲得に前向きな学生が多いことが分かりました。

マンガアプリの中にはcomicoのようにチケット制をとらず、広告収入のみでマネタイズをしているアプリもあります。学生ユーザーをメインに据える場合は、課金要素を減らすことで収益化がしやすくなるかもしれません。

学生ユーザーにウケるアプリのキーワードは、「iOS」「無料」「広告」

今回のアンケート結果をまとめると、以下のような結果が出ました。

・マンガアプリ以外に「SNS」「動画再生」「写真・カメラ」「音楽」アプリが人気。マンガアプリも5位にランクイン
・OSは「iOS」が圧倒的に人気
・マンガアプリ人気No.1は「LINEマンガ」次いで「comico」「マンガワン」「少年ジャンプ+」がランクイン⇒無料で読める話数が多いアプリが人気
・アプリを使うタイミングは「ほぼ毎日」、時間帯は「21〜24時」に集中
・学生は課金には積極的ではなく、課金額も月に1000円以下。ただし、広告視聴による無料チケットには好意的

マンガアプリは掲載する作品の力が人気を左右します。しかし、細かな運用のコツで収益性を上げることができます。

上記の点を考慮し、App StoreでASO対策を行い、無料で閲覧できる作品を増やし、広告掲載を中心にマネタイズを行えば、収益化も容易になるのではないでしょうか。

マンガアプリのジャンルでは、すでに100万ユーザーを突破したアプリもありますが、恋愛モノやホラー、アメコミなど、特定のジャンルに特化したマンガアプリならば参入の余地があるかもしれません。すでに運営を始めている方も、これから参入を検討している方も、今回のデータを参考にしていただけると幸いです。

※1:ニールセンデジタル株式会社 スマートフォン視聴率情報「Nielsen Mobile NetView」より