【あやんせが行く!Vol.2】カジュゲーで海外を狙うなら韓国!グローバルギアに累計1000万DLのコツを聞く〜後編〜

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株式会社Zucksにて広告営業ガールをしている“あやんせ”が、色々なアプリデベロッパーを訪ねるコーナー「あやんせが行く!」。

ノベルゲームを多数、世に出されている福岡のデベロッパー「グローバルギア」のとみーさんから、カジュアルゲームに適した開発環境・体制、データ分析について前回はお伺いしました。

後編となる今回も、株式会社Zucksにて広告営業ガールをしている”あやんせ”がヒットアプリを生むための秘訣をお伺いしていきます!

前編はこちらをご覧ください!

今回お話を伺った人

とみー 氏
株式会社グローバルギアのデザイナー。社長としっかりと情報共有し、社内情報に精通。趣味は、実益を兼ねた「様々なアプリを楽しむこと」。

韓国のカジュアルゲーム市場は想定外のアプリがウケる。理由は若年層にあり!

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— グローバルギアさんは海外展開もなさっていますね?

とみー:余力があるうちにやっておくべきことだと考えています。

— いろんな国がある中で韓国を選んだ理由は何でしょう?

とみー:2つ理由があります。1つは、韓国ならAndroidだけ対応すればいいという点ですね。今はiPhoneもシェアを伸ばしているらしいですけど、ほぼAndroidなんです。Androidだけ対応すればいいという点でラクなのは大きいです。

2つめは、イラストのテイストです。韓国は、ウケるイラストの系統が日本と同じなんです。極端な話、韓国語への翻訳だけ行えばよいので。

それが、ヨーロッパや北米だと大変です。ウケるイラストのテイストが異なるのでイラストをすべて描き直してローカライズをしないといけません。たとえば、イケメンゲームの北米版とか見たことありますか?

— あります。ガチムチですよね。細身の男子が登場する日本のイケメンゲームと全然違ってて。私、ガチムチがいいですけど(笑)。

とみー:そうなんです(笑)。タンクトップで髭も生やしてと、とことんイラストを描き直さないと通用しないんです。イラストどころか、細身がガチムチになるとキャラクター設定も場合によっては見直さないとイケないことも。これ、大変です。

イラストのテイストが違うだけで、海外市場へ参入する難易度は極端に高くなっちゃうんです。

— 韓国市場ならば、翻訳するだけで大丈夫と先ほどおっしゃった意味がわかりました! その韓国市場のカジュアルゲームにはどういう傾向がありますか?

とみー:ウケるゲームがぜんぜん違いますね。日本でウケたノベルゲーム『元カノ(仮)と今カノと僕』は韓国ではそこまで伸びなくて…。

ところが、『元カノ(仮)と今カノと僕』ほどは日本では伸びなかった放置育成ゲームの『IQゼロ ~縄文人観察キット~』は韓国ではバカウケしました(笑)これ何なの、という感じです。

— 他にも例はありますか?

とみー:育成アクション放置ゲームの『あつまれ!コッペパン』も想像以上に流行りました。韓国の新着ランキングで6位までいったんです。なんでコッペパン、ウケてるんだろうと。。。全く読めないです(笑)。
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— 日本と韓国ではヒットする作品が異なるという事ですね?

とみー:ええ。カジュアルゲームを韓国でやってるのは若年層、、というか子どもが多いんです。韓国では大人はMMORPG(多人数が同時に参加するオンラインRPG)で遊んでいます。そもそも女子はガチなゲームには興味がありません。だから、韓国でのカジュアルゲームは子どもを狙ったものが流行るのかなーと。

— 子どもならば確かに『あつまれ!コッペパン』はウケそうです(笑)。 でも、子どもにウケるアプリだとしても、韓国で流行り始めた理由があると思うのですが?

とみー:そうですね。最初はただひたすら耐えている状態でした。ゼロからだと自社誘導もできないですから。そうして、耐え続けて7本くらいアプリを無駄にしたあたりで、ホラー育成放置ゲームの『444回目のただいま』が韓国のとあるYouTuberさんがゲーム実況してくれたんです。そこから火が点きました。『444回目のただいま』は韓国だけで14万ダウンロードくらいされています。

— YouTuberさんが実況してくれたのがきっかけだったんですね

とみー:YouTuberさんに感謝です(笑)。活性化してきたら、やることは日本と一緒。新規アプリを出したら韓国でも、他の自社アプリから新規アプリに対して一斉に誘導をかけています。

韓国でのアプリ展開は「レーティング」に要注意

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— 韓国市場でアプリを展開するうえで注意点はありますか?

とみー:韓国市場は正直厳しいようです。新着ランキングがなくなってきてることもありますが、レーティングが韓国はすごく厳しいことが痛いです。

— どういうことでしょう?

とみー:ゲーム物管理委員会という倫理審査組織が韓国にはあるんです。本来ならそこのレーティング認定を受けないと、韓国ではゲームを出せません。「スマホアプリは例外として任意」なのですが、「いつ削除要請するかはわかりませんよ」という微妙な状態なんです。

— レーティング申請をやればよいのでは?

とみー:外国の企業は受け付けてないんです。だからレーティングを取る手段がありません。日本では老若男女が楽しんでいる有名RPGに18歳未満禁止のレーティングがついたりしますし(笑)。理由はビールが出てきてるからだそうですけど…。

— お酒が出てくるから18禁ですか?それは厳しいですね。

とみー:サスペンスノベルゲームの『僕の彼女は浮気なんかしない』も翻訳して韓国でリリースしたいんですけど、浮気がテーマなので怖ろしくて出せないんですよね…(笑)。

— 具体的にどういう規制を受けるんですか?レーティングが引き上がるとか?

とみー:Google PlayからそのアプリがBAN(公開停止)されます。

— えーーーーーー!

とみー:ゲーム物管理委員会からGoogleに削除要請がきたら、Google Playから消されるんです。そういうルールになってます。

— アカウントBAN(停止)ではないだけでもマシなのでしょうね。韓国市場での注意点、よくわかりました!

広告は、ゲームの世界観と馴染ませることが一番大事

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— 広告についてお伺いしたいのですが、ゲームの世界観に馴染ませて広告を出すのがグローバルギアさんはお上手ですよね

とみー:デザイナーとして、ゲームの世界と馴染ませる事は意識してます。デザインの一部に極力見えるようにしているんです。ゲームを楽しむときに邪魔にならないようにするためですね。

— グローバルギアさんのアプリでは確かに、違和感なく広告が埋め込まれてます。

とみー:ええ。それが嫌だというユーザーもいるとは思うんです。だけど、全面表示されるインタースティシャル広告は使いたくはないですね。日本に限らずどこの国でも「ウザい」と言われますから。

実は、韓国はバナーよりインタースティシャル文化なんです。でも、インタースティシャルがユーザーに好まれているかというとそうでもないんですね。ものすごく邪魔だと思われています。

— だからインタースティシャルは使わないと。

とみー:似たようなことはしていますが。画面切り替え時とか。でもなるべく邪魔にならないように心がけているのは画面切り替えでも同じです。

— 広告事業者と話をするときに意識してることはありますか?

とみー:「CPM(Cost Per Mille 1000回表示あたりの費用)を上げてよ」という思いですね(笑)。

— なるほど(笑)気になることはありますか?

とみー:Androidのポリシーに引っかかる広告はデフォルトでブロックしておいてほしい、ということですね。これ、全部の広告会社へのお願いでしょうけれど。

Google Playはめちゃめちゃ厳しいんです。だから絶対にデフォルトでのブロックは必要じゃないかと思います。

もちろん、最初から対象年齢を18歳以上にしておけば大丈夫なんですけど、対象年齢を18歳まで上げるデベロッパーはいないですよね。なので、デベロッパー単位でデフォルトのマスター設定ができると、デベロッパーはみんなハッピーになると思います。

そういえば最近、Zucksの広告管理画面が使いやすくなったと社員みんなで喜んでいます。

— そうです、変えたんです。使いやすいというご意見はうれしいです!

とみー:とても大事ですよね。使っててストレスがかかると登録しないです(笑)

最初から最後まで社長が付き合い、いろいろ作っていくのがイイ!

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— 今後はどんなアプリを 出していきますか?

とみー:イケメン系、ノベル、あとは普通のカジュアルゲームの市場を会社全体としては目指しています。

ただ、会社としては「いろいろ作っていこう!」というのが基本方針。こういうジャンルで行くとか、こういうゲームシステムで行くとか、選択肢を決めて入るとハリボテみたいなのができてしまいやすいからです。

最初にネタや企画を決めて、そこからジャンルやシステムを決めていくのがベスト。最初に企画ありきは、デベロッパーさんの間では「あるある」だと思いますけれど。

— 全国のデベロッパーさんにアドバイスはありますか?

とみー:決裁権を持っている人が最後まで付き合うかどうかが大事かなと。完成品だけ見て「良い・悪い」じゃダメです。全部のアプリを最初からずっと見ているかどうが大切です。うちの社長はその点徹底しています。これが成功する秘訣かな、と思います。

そんなふうに横一列でやっているのがグローバルギアはすごく良いですね。デザイナーとしての仕事も楽しいです!

— 社長が、最初から最後までアプリを見ることが大事なんですね!韓国市場をカジュアルゲームで狙うなら子どもを意識というのは意外な情報で驚きでした。とみーさん、本日はありがとうございました!

あやんせ
渋谷で働くIT女子。メディアコンサルタントとしてデベロッパーさんのお力になれるよう日々奔走中。秋でもやっぱり海が好き。
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