
株式会社Zucksにて広告営業ガールをしている“あやんせ”が、Web関連業界人を訪ねるコーナー「あやんせが行く!」。第20回目となる今回は、クラシファイドサービス「ジモティー」にお話を伺いました。
クラシファイドサービスとは、ユーザーがお金をかけずに不必要なものをあげたり、人を集めたりできるWebサービスで、新聞の「三行広告」のような簡単な告知を無料で掲載することができます。
アメリカで流行し、日本にも少しずつ定着してきたクラシファイド。今回は国内でいち早くクラシファイドサービスを開始し、業界の旗手となっているジモティーのマネタイズやプロモーションの秘訣に迫ります。
今回お話を伺った人

「地道に、泥臭く」で、創業7年で月間3億PVに

− ジモティーが生まれた背景を教えていただきたいです!
川口千裕さん(以下川口):弊社では2011年の11月からサービスの運用を始めました。元々クラシファイドサービスは海外で定着していたサービスで、代表的なものは世界各国で展開している「OLX」や、中国の「58.com」など。これらは根付いた国で生活インフラの一部になっています。2011年には日本に同様のサービスはありませんでしたが、弊社代表は創業時に「クラシファイドは日本で必ず伸びるサービスだ」と確信していたそうですよ。
− 創業して7年ということですが、現状の利用者数はどれくらいで、どのようなユーザーに利用されているのですか?

川口さん:MAUが750万人、Web版のPVは3億ほどです。都市による偏りはあまりなくて、人口分布に比例して推移していますね。メインユーザーは主婦や退職後の旦那さんなど、ご自宅で長い時間を過ごされる方が大半です。
− ユーザー数はどのように増やしていったんでしょうか?『地元の掲示板、ジモティー♪』っていうCMが印象的で、思わず口ずさんでしまいます(笑)
川口さん:ありがとうございます。ユーザー数は開業以来、CMやテレビの特集などで認知を拡げながら、順調に成長しています。ただ、目標としているのが「地域のインフラサービス」なので、そこにたどり着くために今も毎日、少しずつ改善しながら地道にサービスを運営している感じですね。
− サービスを成長させる秘訣みたいなものはあるのですか?!?
川口さん:クラシファイドはプラットフォームビジネスですから、ユーザーが集まらないと成り立ちません。投稿をする人、問い合わせする人それぞれをマッチングさせることでサービスが成長していきます。そのためこれまで開業してからの社内リソースは、ほぼユーザー数の増加に費やしていました。弊社のモットーをいうならば、「泥臭く、地道に」。初期メンバーは投稿を集めるために自分の知り合いに声がけして出品してもらったり、ユーザーの声を聞くために、公園などで主婦の方にヒアリング重ねたりしたという逸話を聞いています。その頃からいるメンバーには頭が上がらないですね。
− 地道な積み重ねが今の数字につながっているんですね。ジモティーはWebサイトとアプリがあると思うのですが、ユーザー比率はどうなっているのでしょうか?
川口さん:ユーザーはWebの方が多いですね。Webブラウザで閲覧できるため、アプリをダウンロードするよりも気軽に利用できるのかなと思います。ただ、最近はアプリの利用者も増えてきています。
− 今後はWebとアプリ、どちらの利用者が増えて欲しいという希望はあるのでしょうか?
川口さん:サービス全体の利用者増が最優先なので、利用者が増えればどちらが増えても問題ないというスタンスです。担当者の立場で言えば、アプリの方がリテンションが高くなるので、アプリ利用者を増やしたいという思いはあります。
今後のジモティーが見据える独自の立ち位置とは

− クラシファイドは一時期、様々な企業が参入しましたけど、撤退も多かったですよね。ジモティーのマネタイズ方法をお伺いしたいです!
川口さん:創業時から広告によるマネタイズを行っています。実はマネタイズ部署が立ち上がったのは2017年の1月なんです。
− 専用の部署が立ち上がったのはつい最近なんですね!今後は広告以外のマネタイズも始めていくのですか?たとえば、投稿手数料を設けたりとか。
川口さん:無料で投稿できることが強みになっているので、投稿手数料は今のところは考えていません。オークションサイトなどで見られる、投稿を目立たせる課金システムは設けていますがまだまだ改善するべきところが多数あると思っています。一つ一つ、検証しながら利用者に不便を与えない形で進めていければと考えています。
− なるほどー!ジモティーの運営の特徴は何かありますでしょうか?
川口さん:運営面で言うと、カスタマーサービスでしょうか。弊社のスタッフは合計80名くらいなんですが、半数にあたる40名がCSスタッフなんです。
− 半数もいらっしゃるんですか!

川口さん:生活インフラを目指すサービスなので、安心して利用できるかどうかは重要な要素です。投稿は24時間体制でチェックしていますし、お問い合わせにも早く返信できるよう動いています。そうすると、それくらいの人数が必要なんです。そういえば、CSのスタッフさんもジモティー経由で採用しているんですよ。
− ジモティーのユーザーさんがCSスタッフさんとして働いているんですか!?
川口さん:はい、今働いているCSスタッフのほとんどは元ユーザーさんで、主婦の方や学生の方が多いんです。もともとサービス利用者なので使い方も熟知していますし、改善点を挙げてくれたりとメリットは多いですね。弊社メンバーもサービス利用者は多いと思います。
− ファンが作り上げているサービスでもあるんですね!サービスを中心にコミュニティが形成されているんですね。
山や家、お神輿まで!?クラシファイドだから流通する様々な物品
− 今まで様々な投稿があったと思うんですが、びっくりするような募集はありましたか?

川口さん:お神輿の募集がありました。
− お神輿!!
川口さん:お神輿を2つ持っている町内会さんがあったんですが、人が減って不要になってしまったんですね。それで募集をかけたところ4kmほど離れた隣町から引き受けたいと反応があって。その時は譲渡式が行われたそうです。ほかには伝統工芸士のユーザーが引退される際に、ノウハウと機材を譲り渡したいと投稿してくださったり。
− 物だけじゃなくて、技術もですか!?
川口さん:投稿されるものは本当に様々です。物の引渡しだけでなく、ペットの里親募集や、イベントの告知。持っているだけで税金がかかるならと山や家を無料で引き取って欲しいと投稿されることもありますし、マンションやシェアハウスの居住者を募集される方、求人の募集をされる方もいらっしゃいます。ジモティーは無料で投稿できるので、「手数料もかからないし、問い合わせがあればいいや」というテンションで投稿されるみたいですね。
− 家や求人まで……。フリマサービスとは一線を画していますね。
川口さん:フリマとはユーザーのメンタリティが異なるようです。ジモティーでは直接会って取引をするため、投稿者と受け取る側が自然と気遣い合うことが多いかもしれません。たとえば、受け取り手から取引のお礼にお菓子をもらいましたというご報告も結構ありますし、荷物を引き取りに行った利用者が「ついでに別の物をもらう」ことも多いようです。その辺りの肌感は他のサービスとは異なる特徴だと考えています。
− これもクラシファイドならではの現象ですね。
情報の質・量・使いやすさも向上、これからも地道な努力は続く

− 次なるステップや御社の課題についてお聞きできますか?
川口さん:クラシファイドサービスはそこにどれだけのユーザーが集まるかでサービスの価値が上下します。投稿する人と問合せする人それぞれを増やすことで利用者の成功体験をもっと増やせるようにしたいですね。
そのうえで、課題に感じているのはユーザビリティです。カテゴリ、値段、キーワードなど、検索方法がユーザーの自己流になっていて、探せばいい情報がたくさんあるのに到達できていないお客様がいます。便利なサービスを提供できているかを常に自問自答しながら、ユーザーがより簡単に求める情報にたどり着けるよう、UIを改善していきたいと思います。
− 「泥臭く、地道に」磨き上げてきたからこそ、ユーザーさんに選ばれるサービスになったのですね、これからもジモティーの発展を楽しみにしています!本日はありがとうございました!
◎ジモティーのWebサイトはこちら⇒https://jmty.jp/

