
プリクラや携帯電話、LINEやTwitterなど、常に最先端のものを取り入れ、流行を生み出してきたのは女子高生でした。そんな彼女たちの必須ツールといえば「カメラアプリ」。SNSへ投稿したり、友達と共有したりと、インストールしていない女子高生はいないのではないでしょうか。
いま女子高生の間ではどのようなカメラアプリが流行しているのか?“女子高生の聖地・渋谷”で、人気のカメラアプリとその使い方を聞いてみました。
SNOWは必需品、いま人気があるのは「B612」

いま人気があるカメラアプリと言えば、「SNOW」や「snapchat」などを思い浮かべる方も多いでしょう。編集部のメンバーも、2つのアプリのうちどちらかに人気が偏るだろうと予想していましたが、今回の街頭インタビューでほぼ全員が所有していたアプリは「SNOW」と「B612」でした。
「B612」はLINE Corporationがリリースしているアプリで、女子高生の間で通称「ビーロク」と呼ばれているそうです。なぜそんなに人気があるのか?その理由を女子高生に聞いてみました。
盛ってると思われたくない、でも可愛く見せたい

まずは、高校2年生のYさんにB612を使っている理由を聞いてみました。
Yさん:「『SNOW』は定番アプリで、ほとんどの友達が持っています。ビーロクは最近流行りはじめた感じかな。『SNOW』とビーロクの違いは、盛り具合を調整できること。『SNOW』は自動的に盛られちゃって不自然な感じになるんですけど、ビーロクは目や輪郭を自分の手で細かく調整できるんですよ。肌もビーロクの方がきれいに写ります」
「B612」人気の秘密その①は「ナチュラルに画像補正ができること」。
「盛り」とは、写真を補正して目を大きく見せたり、顔を小さく見せたりすること。しかし、やりぎると目が大きくなりすぎたり、アゴがシャープになりすぎたりして不自然に感じることがあります。
自分好みに細かい調整ができる「B612」が人気を集める理由は「盛ってると思われたくない、でも盛って可愛く見せたい」というワガママな悩みに対応したからなのでしょう。

Yさんはほかにどのようなアプリをダウンロードしているのでしょうか?スマホの画面を見せてもらうと、「B612」や「SNOW」のほかに、「snapchat」や「LINE camera」のアイコンが見えます。注目したいのはLINE Corporationがリリースしている、食べ物の撮影に特化したアプリ「Foodie」。
なぜひとつだけ食べ物用のアプリが?と思ってしまいますが、これは実は自撮り用。「Foodie」には赤みを足してくれるフィルターがあり、血色がよく見えるので使っている女子高生も多いのだとか。
本来の意図とは異なる使われ方をされているカメラアプリを見て、ティーンの盛りに対する情熱をひしひしと感じました。
カメラアプリに表示される「アイコン」、実はない方がいい?

次にお話を聞いたのは高校二年生のUさん。「女子高生はそこまで写真に気を使うのか!」と、目からウロコのポイントを聞くことができました。
Uさん:「『SNOW』を使っている友達はたくさんいるんですけど、最近はビーロクを使っている子が多いですね。『SNOW』だと撮った写真の右隅に『SNOW』ってアイコンが表示されちゃうんです。これが地味に気になるんですよ」
「B612」人気の秘密その②は「アイコンが表示されないこと」。
SNOWのアプリに表示されるアイコンはかなり小さなものですが、「インスタやTwitterへ投稿する時に表示されていると、雰囲気が壊れる」などの理由であまり好評ではないようです。「撮った写真の右隅に『SNOW』と表示されてしまうのが嫌」という意見は、他の女子高生からも聞くことができました。
SNSネイティブ世代にとっては、画像や文章は自分のイメージや世界観を表現するツールのひとつ。彼女たちは、自分のイメージや世界観に余計なものが入ってくることを避けたいのかもしれません。

Uさんのスマホには「B612」と定番の「SNOW」のほかに、「snapchat」「Camera360」などのカメラアプリと、写真加工アプリ「MOLDIV」がインストールされていました。
ところで、YさんもUさんも、カメラアプリを複数所持しているのはなぜでしょう?同じカメラアプリだからひとつあればいいのでは?と思いますが、その疑問は次にインタビューした女子高生が答えてくれました。
カメラアプリは「複数持ち、撮る友達に合わせて使い分ける」のがスタンダード

次はカメラを複数所持している理由を、高校3年生のRさんに聞いてみました。
Rさん:「いくつもカメラアプリを持ってる理由ですか?友達のなかには『このアプリじゃないと写りたくない!』とこだわる子がいるので、カメラアプリは複数ダウンロードして使い分けているんです」
カメラアプリは実は一つひとつ微妙に写り方や補正、フィルターが異なります。「このアプリの方が可愛く写れる!」というアプリが一人ひとりにあるようで、「このアプリじゃないと写りたくない」というこだわりも出てくるようです。

YさんやUさんと同様、Rさんも複数のカメラアプリを使い分けていました。「B612」や「SNOW」をはじめ、人気クリエイティブディレクター植野有砂さんのスタイルブックとコラボしたカメラアプリ「#ALISA」や「LINE Camera」、先日ザクマガで取材させてもらったMeituの「Beauty Plus」もインストールされています。
人気のフィルターは「ネズミ」

ここからは、調査のなかで印象的だったコメントをまとめてご紹介します。
カメラアプリだけでなく、SNSアプリの面白い使い方についてもコメントをもらうことができたので、参考にしてみてください。
フィルターは「ネズミ」が大人気
「鼻に黒い点が付くネズミのフィルターは、誰でも可愛くなるし、鼻が少しだけ高く見えるんです。人気があるから、クラスのほぼ全員が使ったことがあるんじゃないかな」
フィルターはSNOWやB612に搭載されているネズミが大人気。文化祭で撮影した写真を後で見せ合ったところ、8割がネズミのフィルターで撮ったものだったという話も聞くことができました。
「好きな芸能人が使っているから」もインストールの理由に
「私、青山テルマが好きなんです。『Snapchat』はテルマちゃんが使っているからインストールしました」
好きな芸能人が使っているから、という理由でカメラアプリをインストールする女子高生も多いようです。
先ほど少しだけ触れた、人気クリエイティブディレクターのコラボアプリ「#ALISA」もそのひとつ。アプリの中には、芸能人や人気雑誌とコラボしたフィルターがあり、いずれも好評なようです。
TwitterとLINE、2つのアプリを公私で使い分ける
「連絡は『Twitter』のDMか、『LINE』がメインです。『LINE』は仲がいい子。『Twitter』はそこまで仲良くない子に使います」
連絡用アプリとして人気があったのは「Twitter」と「LINE」のふたつ。人によって使い方は様々で、片方を「親しい友人向け」に、片方を「親しくない友人や事務的な連絡」に使う女の子がほとんどでした。
共通していたのは、2つのアプリをプライベートとパブリックな窓口として使っていたこと。最近では学校の先生からクラスの連絡がLINEで連絡が来ることもあるそうなので、使い分けをしているのでしょう。
ちょっとでも可愛く写りたい!は女子の本能?
今回街頭で聞いた意見の中には、「ここまでこだわるか」と驚いてしまうものもありました。ナチュラルな「盛り」を追求することも、小さなアイコンの有無にこだわることも、すべては「可愛くいたい」という女子の本能から生まれるものなのでしょう。
盛りを求める女子高生と、そのニーズに応えるアプリデベロッパーの応酬は、今しばらく続くことになりそうです。
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