ブランド企業から知育アプリにコラボ依頼が殺到!株式会社キッズスターに聞く、コラボレーションの秘訣


株式会社Zucksにて広告営業ガールをしている“あやんせ”が、Web関連業界人を訪ねるコーナー「あやんせが行く!」。第22回目となる今回は、知育アプリ「ごっこランド」を運営する株式会社キッズスターのアプリ担当者にお話を伺いました。

ごっこランドは、実在する複数企業の体験コンテンツが1つのアプリでできる点が魅力です。大手のハンバーガーチェーンやトイレタリーメーカーなど、数多くの企業がアプリ内に軒を連ねています。しかし、なぜ大手企業はこぞって、この知育アプリに出店しているのでしょうか。

そこで、本アプリの担当者・松本さんにアプリの運営方法やコラボレーション施策について伺いました。

◎株式会社キッズスター 取締役 松本健太郎

ごっこランドは「子どもと社会の接点作り」が目的

−まず、キッズスターさんがどんな会社なのか教えてください。

松本健太郎さん(以下、松本):弊社は、代表に子どもが生まれたとき、「自分のスキルを、子どもの教育や遊べるものに変換してビジネスができないか」と考えたのが始まりで、事業会社の新規事業としてスタートしました。現在は独立した法人として運営しています。

主な業務内容は、デジタルを通じて、子どもと社会をつなげる取り組みを行うことです。「ごっこランド」もその一環として、2013年にリリースしました。

−「子どもと社会の接点」とは具体的にどんなものですか。

松本:子どもたちに、身の回りの物事ついて興味を抱いてもらえる場を作り、体験を通じて社会との距離を縮めたい!というものです。事実、子どもが職業体験できる人気のテーマパークが存在します。しかし、遠方に住んでいる方は施設に行くのが難しい、希望する体験ができるとは限らない、などの課題もあります。アプリで同じような体験が表現できれば、様々な制約を解決できると考えました。

−たしかに、職業体験施設って入場制限かかるほど人気らしいですね・・・!ごっこランドは、実在するお店で遊べるのが大きな特徴だと思うのですが、こうした企業とのコラボレーションは最初から想定していたのでしょうか。

松本:はい、当初から企業のコラボレーションとユーザーには無料提供、の2つが前提のプロジェクトでした。しかし、ユーザーがいなければ、コラボする価値がありません。リリース時から多くのユーザーを集めるのは難しいため、開始から半年間はオリジナルで作った架空のお店だけで運用していました。

−ユーザーを増やすために、どんな施策を打ったのでしょうか。

松本:それが、プロモーションにはお金をほとんど掛けていません。運良くAppStoreやGooglePlayでフィーチャーいただいたり、メディアや子供向け雑誌に取り上げていただいたりした結果、ユーザーが徐々に増えていきました。

ごっこランドは合計DL数が230万を超えており、アクティブ率も高く、今でもDL数が毎月平均で5万ほど伸びています。正直、なぜこれだけ多くのユーザーにご利用いただけているのか、我々も全てを正確に分析できていないのが現状です(笑)ただ、ランキングやオーガニックから多くDLされていることはわかっています。

有名なキッズYouTuberの方が取り上げてくださったことも、DL数が伸びた大きな要因の1つかもしれません。YouTubeで「ごっこランド」と検索していただくと、アプリのプレイ動画が多数あり、中には再生回数が200万回を超えるものもあります。そこからも相当数がオーガニックに流れてきているのでは、と推測しています。

230万人のユーザーにすぐリーチできる。ブランド企業がコラボしたがる理由

−国内大手のブランド企業が貴社アプリとコラボレーションする大きな理由は、230万のユーザーにリーチできることなのでしょうか。

松本:そうですね。コラボしていただいている企業の目的は大きく、ブランディング、マーケティング、CSR(企業の社会的責任)/CSV(共有価値の創造)の3つに分かれます。

一般的に、企業が自社アプリを作って成果を出すためには、企画や開発、ユーザーを増やすリードの期間が必要になります。そして本当に成果が出るかどうかは、実際に運用してみないと分からないですよね。

その点、ごっこランドでは新しいお店をリリースした瞬間に、たくさんの子どもとその家族にリーチできるので、リードタイムがほぼありません。また、ユーザーである子どもに直接アプリを触っていただき、フィードバックするテストを徹底して行うなど、企画から運用までノウハウを提供していることも、コラボの決め手になっています。

−ブランディングなどの効果を数値として算出するのは難しいと思うのですが、どのようにデータを取っているのですか。

松本:企業によって指標が変わるため一概に言えませんが、クーポンを利用した計測を行っている事例があります。ごっこランド専用のクーポンを発行いただき、POSデータから必要な数値を計測する取り組みです。

また最近は、「ES(従業員満足度)向上にもつながっている」と企業からお声を頂くことも多くなりました。出店企業の従業員の方は、アプリを通して自分の仕事をお子さんに知ってもらえるため、本人の働きがいにつながるそうです。実際に、このために出店を検討される企業もいらっしゃいます。

親がアプリに関与するタイミングを意図的に作る

−ごっこランドには多くの企業が出店されていますが、ブランディングを大きな目的としている企業だと業種の被りは懸念されないのでしょうか。

松本:1業種1社、かつ先約順を原則とし、同業他社が入れない環境を戦略的に作っています。そのため、業種や規模にかかわらず、スピーディーにコラボの可否判断をいただけるようになりました。

−新しく出店される企業を見つけるために、営業は行っているのですか?

松本:表立った営業は、昨年秋からはじめました。ある程度ユーザーも集まったので、改めて分析をしたら、「これはブランドに持っていける!」と(笑)。 料金も定額制に一新し、コンテンツの企画、開発から運用、改善の全てを費用内で行っています。

最近では、出店企業の店舗でごっこランドのダウンロード訴求動画を流す、商品パッケージにアプリストアのQRコードを埋め込む、などの新しい取り組みも始まっています。ごっこランドを通じて、日常生活の動線にブランドとの接点を設け、再来店や購買を促す仕掛けづくりですね。
アプリの運用自体は企業側の工数が極力かからないようにしているため、マーケティング担当者が変わっても引き継ぎが簡単という副次的な効果もあります。

−定額の費用と成果が釣り合うためには、実際にアプリで遊ぶ子どもだけではなく、「お金を持っている親がどれだけアプリにかかわっているか」も重要になると思うのですがいかがでしょう!

松本:おっしゃる通りです。ゲーム報酬でクーポンを発行しても、実際にクーポンを使うのは親ですからね。お財布を握る親とアプリの接点を作る必要があるので、「子どもが親に見せたくなる画面」を意図的に設けています。子どもが親に『できたよ~!』と褒めてもらうシーンはかかせません。家族のコミュニケーションを増やしつつ、親がアプリと自然に接触できる工夫のひとつです。

親がどれだけアプリに関与しているかアンケートを取った結果、約7割の親が子どもと一緒に遊んでくれていることがわかりました。また、約8割の親がどんな企業のお店があるのか把握してくれているそうです。

こうしたデータからも、企業の目的に合わせて成果を出せるようなアプリになっています。

国内では新規店舗を続々リリース!海外展開も視野に入れる

−最後にキッズスターさんの今後の展望などを聞かせてください!

松本:足元は、引き続き新しい企業とコラボを進め、ごっこランドの価値を高めていきます。毎月1〜2社ペースで新しいお店がリリースされますので、ぜひこれからもチェックしてみてください。

また、海外進出も検討しています。ごっこランドの価値は言語や文化に依存しにくいのと、我々の知育アプリはノンバーバルアプリが多く、翻訳作業が比較的容易という背景もあります。ごっこランドでご一緒している企業で、海外展開しているブランドと協力して進出できると嬉しいですね。

−今後の出店企業や海外展開、楽しみにしております。本日は貴重なお時間ありがとうございました!

ごっこランド

ごっこランド
開発元:KidsStar Inc.
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あやんせ 渋谷で働くIT女子。メディアコンサルタントとしてデベロッパーさんのお力になれるよう日々奔走中。冬でも海が大好き。 Twitterアカウントはこちら