Google Play Bestで5年連続受賞!株式会社スマートエデュケーションに聞く、高品質なアプリの育て方|あやんせが行く!Vol.21


株式会社Zucksにて広告営業ガールをしている“あやんせ”が、Web関連業界人を訪ねるコーナー「あやんせが行く!」。第21回目となる今回は、知育アプリ「TO-FU おっ!すし屋さん」を運営する、株式会社スマートエデュケーションの担当者にお話を伺いました。

「TO-FU おっ!すし屋さん」は、Google Playがその年に話題になったアプリを選出する企画「Google Play Best of 2017」のファミリー部門で大賞を受賞。同社は、過去のGoogle Play Bestファミリー部門でも大賞を受賞しており、2017年の受賞で5年連続の大賞受賞になります。

今回はそんな同社に、良質なアプリを生み出す秘訣や、知育アプリ市場についても伺いました。

◎株式会社スマートエデュケーション プロデューサー 石田達也

徹底したユーザーテストで、子どもたちが心から楽しめるまで調整する


-スマートエデュケーションさんは、どのような想いから設立された会社なのですか?

石田達也さん(以下、石田):会社設立のきっかけは、弊社の社長が、「スマホを通して、子どもに良質なコンテンツを提供してあげたい」と考えたことです。

成長段階の子どもは、できるだけ良質なコンテンツに触れて、感性を磨く時期です。しかし、一般的な子ども向けおもちゃは安価な作りのものが多く、音が出る本も、あまり音質は良くありません。弊社のスマホアプリは、音質には特にこだわっていて、本物の楽器から録音していることがほとんどです。

-アプリの企画はどのように行われているのでしょうか?

石田:弊社の知育アプリは大きくふたつに分かれています。ひとつ目は、他社のキャラクターをお借りして作るIP(知的財産権)系。ふたつ目は完全に自社オリジナルのアプリです。

IP系アプリの場合はライセンサー様と一緒に企画を考えることが多いのですが、オリジナルアプリでは「子どもにとって身近なものを面白おかしく体験できる」ことに主眼を置いて企画しています。

−大人が子どもにとって面白い大変を発見するのって難しそうなイメージなんですが、どのように企画が生まれてくるのでしょうか。

石田:幸いなことに、僕も含めて子どものいる社員が多いので、日常生活から企画ネタが見つかります。たとえば、大人になってからゴミ収集車に興味を持つ人はあまり多くはいないと思いますが、子どもにとってはゴミ収集車がゴミを吸い込んでいくところとかがすごく楽しいらしく、いつまでも眺めています。

「TO-FU おっ!すし屋さん」の企画は、僕が子どもと一緒に回転寿司に行ったときに思いつきました。そのときに回転寿司の「面白さの仕組み」を考えたら、ゲームになりそうだな、と。

「TO-FU おっ!すし屋さん」のホーム画面。ポップでかわいいデザインになっている

−なるほど、お子さんと一緒にいるときに気づきが生まれるんですね。

石田:アプリ開発の段階でも、子どもたちに協力してもらっています。アプリのプロトタイプを作ったら、実際に子どもたちに遊んでもらうんです。子どもたちに何度も繰り返し遊んでもらって、操作が難しい部分や面白いと思う部分を洗い出し、その都度改善していきます。いきます。子どもたちが心から楽しめるまで、徹底的にブラッシュアップをしてからリリースするので、アプリの質には自信がありますね。

国内の知育アプリ市場は停滞気味。必然的にグローバルへ進出

−「TO-FU おっ!すし屋さん」の累計DL数はどれくらいあるのですか?

石田:全世界で730万DLくらいですね。国内だと100万くらいなので、ほとんどが海外
からのDLになります。

その中でも、特にDL数が多かったのが中国です。人口も多いですし、スマホも浸透しているので、今後も狙っていきたい市場ですね。そのほかの国では、タイ、ベトナム、ロシア、ブラジル、アメリカ、ウクライナからも相当数がDLされています。

−アプリのデザインなど海外っぽい雰囲気だなと感じたのですが、最初からグローバルで展開する予定だったのですか?

石田:そうですね。国内の知育アプリ市場は、スマホの普及にともなって爆発的に伸びて以来、停滞気味です。国内市場だけで戦うのは難しいので、グローバルでヒットできるように計画を立てていました。お寿司のアプリを作った大きな理由は、「海外でもネームバリューがあるから」でもあります。

アプリ開発のフェーズでは、日本の子どもたちだけでなく、アメリカの子どもたちにもプロトタイプを遊んでもらいました。日本と海外の子どもは感性が全く違うので、どんな国の子どもたちでも楽しめるようなデザインや仕様に調整しています。

YouTuberによる紹介でDL数爆伸び!いかに取り上げてもらうかがカギ

−実際プレイさせていただいたのですが、子どもだけじゃなく、大人でも楽しめる内容ですね!(笑)

石田:ありがとうございます(笑)。でも、その「大人でも面白い」が、DL数をここまで伸ばしているひとつの要因だと考えているんです。

子ども向けの知育アプリですが、わさびを盛り放題にしたり、自分の顔を寿司ネタにできたり、子どもが“爆笑”できる要素や普段やりたくでもできない要素を盛り込んでいます。

自撮りした顔を寿司ネタにしてみた。インパクトが強い

こうした遊び要素を盛り込んだおかげか、有名なYouTuberさんに取り上げてもらえて。そこから爆発的にDLが伸びていったんです。タイでDLが伸びた理由も、タイでアイドル的な人気のYouTuberさんが取り上げてくださったからですね。

−YouTuberパワー恐るべし・・・!タイ以外でも、伸びている国はその国の人気Youtuberさんが取り上げて下さったんでしょうか。

石田:はい、そういう国が多いかもしれません。当初は、YouTuberさんが取り上げてくださるとは全く考えていなかったです(笑)僕たちがプロモーションとして戦略的にやっていたのは、GoogleさんやAppleさんといったプラットフォーマーと良い関係を構築して、フィーチャーしてもらいやすくする程度です。

でもフィーチャーによるDLの伸びは一時的なもので、フィーチャーが終わると同時に、DL数も減っていきます。なので、中長期的にDLされ続ける施策を考えていました。今はYouTuberさんに取り上げていただいたことでDL数が伸びて、またストアでフィーチャーされ、また新しいYouTuberさんの目に止まる、という好循環が生まれています。

今回の件で、YouTubeの力の大きさを肌で感じました。今後のアプリプロモーションでは、YouTubeを有効活用できるように考える必要がありますね。

東南アジアでは広告に抵抗がない?国別で変えたマネタイズ手法

−日本と海外でマネタイズ面での違いはありましたか?

石田:「TO-FU おっ!すし屋さん」の場合、海外のDL数は伸びたんですが、広告を載せなかったので、マネタイズはあまりうまくいきませんでした。

広告を載せなかった理由は、アプリはメディアではなく、子どものおもちゃだと考えているからです。なかでもバナー広告は、ただでさえ誤タップの多い子どもにとって、良質な体験を阻害するものでしかありません。

そのためアイテム課金を採用しており、全ての寿司ネタを開放するために480円が必要です。しかしグローバル視点だと、480円は東南アジアなどの国にとって決して安い金額ではありません。実際、タイやベトナムの課金率は驚くほど低い水準でした。

−それはDL数から考えるとかなりもったいないですね。

石田:課金率の低さも問題ですが、もっと多くの人にいろいろな寿司ネタで楽しんでほしかったので、ほかの方法を模索したんです。こうした地域の分析をすすめて進めていくうちに、タイやベトナムの方々は広告に対してそこまで抵抗感がないことがわかりました。

そこで現在は、子どもの体験を阻害しない形で動画広告を挿入しました。今はまだデータを取っている段階ですが、国によって広告の受け入れられ方が違うので、しっかりと分析して今後に活かしていきたいですね。

オフラインの活動も活発化させ、知育アプリ市場を盛り上げていく

−最後に、スマートエデュケーションさんの今後について教えてください。

石田:アプリや会社、知育アプリ市場でも解決しなければいけない課題がたくさんあるので、ひとつずつ丁寧に解決していきたいですね。たとえば、弊社には強いIPがまだないので、「TO-FU おっ!すし屋さん」のアプリをこれからも定期的にリリースして、国内外で戦えるIPに育てていかなければいけません。

同時に、国内の知育アプリ市場も育てていきたいと思っています。国内では知育アプリの課金だけで食べていくのが難しい状態です。そのため、弊社では幼稚園や保育園向けに、アプリを使って遊ぶカリキュラムを提供しています。遊びを通してテクノロジーに触れて、クリエイティビティを育む。こうしたアプリの活用方法を増やして、国内の知育アプリ市場をもっと盛り上げていきたいですね。

−次はどんなアプリがリリースされるのか、すごく楽しみです!本日は貴重なお話をありがとうございました!

TO-FU おっ!すし屋さん

TO-FU おっ!すし屋さん
開発元:SMARTEDUCATION, Ltd.
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あやんせ 渋谷で働くIT女子。メディアコンサルタントとしてデベロッパーさんのお力になれるよう日々奔走中。冬でも海が大好き。 Twitterアカウントはこちら