大富豪アプリが300万DL突破!アプリ黎明期から開発を続けるディベロッパーは果たして大富豪なのか?運用の裏側を聞いてみた | あやんせが行く!vol.14

株式会社Zucksにて広告営業ガールをしている“あやんせ”が、アプリ関連業界人を訪ねるコーナー「あやんせが行く!」。

第14回目となる今回は、2008年のスマホアプリ黎明期から開発を始め、300万DLの「大富豪」や、800万DLの「もぐらつつき」などのアプリを運用しているTNYソフトの吉村一成さんにお話を伺いました。

開発当初から新しいアプリのリリースはほぼ行っていないという吉村さん。マネタイズや収益など運用の裏側に迫ります。

今回お話を伺った人

TNYソフト 吉村一成

ヒットの秘訣は「細く長く」、続けることが力になる

—吉村さんの経歴を見るとスマホの黎明期からアプリを開発されていますよね?開発を始めるまでの経緯ってどのようなものだったのでしょうか?

吉村一成さん(以下、吉村):私はもともと30年間サラリーマンとしてSEをしていたんです。NTTグループやソフトバンクなど通信関係のネットワークの開発をしていたんですが、2008年にiPhoneや初代Androidが登場した時に、勤めていた会社がスマートフォンアプリの開発を始めました。

当時はまだ開発にJavaが使われていた頃ですね。私も開発に携わっていましたが、紆余曲折あって独立することになり、退職金代わりにアプリ事業を引き継いで一人で運営していくことになりました。

—その時に受け継いだアプリの数ってどれくらいだったのでしょうか?

吉村:アプリの数は非公開のストックも合わせて60個あります。現在は、ストックの中から公開非公開を繰り返し、数字を計測して、公開しているのは厳選した10個のアプリです。さすがに一人では60個はメンテナンスできなくて。

—60個もストックがあるんですね!公開されているアプリにはどのようなものがあるのでしょうか?

吉村:公開しているものは、300万DLされた大富豪以外に、リバーシやパズルゲーム、脱出ゲームの「ミッシング」シリーズ。ほかに「もぐらつつき」というもぐらたたきのようなアプリは累計800万DLされています。

—800万ダウンロードですか!?すごい!

吉村:スマホアプリの黎明期から細く長くやっていたからでしょうか、おかげさまでその数字になりました。

アプリ黎明期にはシステムの都合上、アイテム課金が搭載できなかったんです。それで大手メーカーは参入に積極的ではありませんでした。他メーカーが二の足を踏んでいる間に良質な無料アプリを作ってリリースしたことが功を奏したと思います。

—アップデートは行っていますか?ルールの追加とか。

吉村:もちろん行っていますよ。たとえば、大富豪はローカルルールがあるので、定期的に追加しています。ユーザーから定期的に要望が届くので、自分で考えなくていいのが楽ですね。

ルールは「エンペラー」とか「オーメン」とか、知らないものもたくさんあって、最近だと「12ボンバー」というルールを追加する予定です。今までにルールの追加は40個くらい、年間に5ルールを追加しています。

アプリ運用と副業をしながら、都会でスローライフ

—吉村さんは10個のアプリを運営されていますけど、すべて広告収益のみでマネタイズされているのでしょうか?

吉村:すべて広告のみでマネタイズしています。課金機能を実装すると、より大きな収益が狙えますが、私は大きな一発は狙っていません。無理なくメンテナンスできて、誰でも遊びやすい、飽きないものを提供していきたいと思っているんです。

—少し答えづらい質問かもしれないんですが、サラリーマン時代から収益は減りました?

吉村:収入はサラリーマン時代から減りましたが、食うに困らない程度には稼げています。

アプリの収益は独立してからの2年でゆるゆると下降していますが、問題はありません。30年間サラリーマンをしていましたから貯蓄もありますし、精神的なプレッシャーから解放されたので満足しています。

—収益がだんだんと減っているとお聞きしましたが、アプリ運営以外のお仕事はされていますか?

吉村:実は、副業として週に2〜3回働いているんです。というのも、アプリの運用に専念していたら体調を崩してしまったんですね。

私は、前職を退職してから2年間は家にこもって、アプリのメンテナンスやストックしてあるアプリの再開発をしてきました。作業時間は1日に3〜5時間程度。自宅で仕事ができるので、買い物の時くらいしか外に出ることがないんです。簡単に言えば引きこもりですよね。

でも、2年間引きこもると心や体がおかしくなってくるんですよ。人と話す機会も減るし、情報を仕入れる先がインターネットだけになるので考えが偏ってきます。お酒を飲みながら軽食をとる生活を続けていたので、体重も80kgから60kgに減りました。

—20kgも減ってしまったんですか!?

吉村:そうなんです。これはまずいなと考えて、ウィークデイは外で働くことにしました。今は、週2〜3日は外で雇われ仕事をして働いています。その収入もあるので、やっぱり生活には困っていません。都会で脱サラ・スローライフをしている感覚です。

—都会でスローライフですか。ゲームアプリは入れ替わりも早いので、ディベロッパーの方は常に作り続けなければならないので、吉村さんのような生活は憧れるかもしれませんね。

オーソドックスなアプリだから、子どもや年配者にウケる

—運用されているアプリは一定の収益を稼いでいるそうですが、アプリってダウンロードしてもらうのも一苦労ですよね。プロモーションにお金を使ったことはないですか?

吉村:今まで広告を打ったことはないですね。ユーザーはすべてストア検索から獲得しています。ただ、近年はアプリが飽和状態で、これだけアプリがあると埋もれてしまうので広告を打とうかと思っています。

—吉村さんのように初期にリリースしたアプリだけで生活できている人は珍しいと思うんです。ディベロッパーの方々は「早く次のアプリを開発しなきゃ」と焦ることもあるかと思うのですが、そういった焦りはありませんか?

吉村:それがあまりないんですよね。今運用しているアプリで収益は十分ですし、開発済みのアプリもストックがあります。新規リリースはそれほど考えていません。

—数を打たずに、いまあるアプリをアップデートしていくというスタンスでしょうか?

吉村:そうですね。私のアプリはオーソドックスで目新しいものではありませんが、だからこそお子さんや年配の方など、安心して遊んでくださる方が一定数いるのではないでしょうか。

ゲームクリエイターは、「これはいけてる、誰も考えたことがない」というアイデアを思いつくことがありますが、たいていは誰かがすでにやっていて、失敗することも多いんです。そういう開発者をたくさん見ているので、私はオーソドックスなアプリで勝負していきたいと思っています。

—最後に、アプリ運用を続けるモチベーションとこれからの展望について聞かせていただけますか?

モチベーションで言うと、もぐらつつきにありがたいコメントを頂いたんです。
「東日本震災で避難所生活をしていて子どもが泣き止まないときに、もぐらつつきで遊ばせたら泣き止みました。とても感謝しています」と。こういうコメントをいただくと、これからも運用を続けていこうと思っちゃいますよね。

もし、新しいアプリをリリースするとしたら、お子さんやサラリーマンが暇をつぶしてくれるような、シンプルでオーソドックスなゲームをリリースしたいですね。しばらくは、今自分が持っているもので、どれだけ泳いで行けるのかを試したいと思います。

—吉村さんのように、「細く長く」を意識して生計を立てていくのもカジュアルゲームでは大切かもしれませんね。今日はありがとうございました!

◎TNYソフトWebサイト⇒http://tny-soft.com/

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あやんせ
渋谷で働くIT女子。メディアコンサルタントとしてディベロッパーさんのお力になれるよう日々奔走中。秋になっても海が大好き。
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